おすすめ戦争映画をジャンル別に紹介する!
最近なんだか物騒なニュースが入り乱れている。
「◯◯人を殺せ!」と叫び、片や「戦争が近づいている!」とも叫んでいる。
でも核の傘が登場してもなお世界中は戦争だらけ。
結局、人間はそんなもんなのかもしれない。
そんな僕は戦争映画が大好物。
あくまでも映画というエンタメとしての戦争であって戦争礼賛じゃないので、田嶋先生怒らないで。
戦争映画は人間の本質の部分が垣間見れるようで、それでいて見ている自分にも物凄くずっしりと響く。
人類と戦争が切っても切れない間柄であるように、戦争と映画も切っても切れない、そして人間と映画も切っても切れないんだなあ~
つうわけで、おすすめ戦争映画をジャンル別にご紹介!
それでは「パンツァー・フォー!」
- 作戦
- 将軍目線
- 士官目線
- 兵卒目線
- 軍隊はつらいよ
- 戦争の狂気
- 狙撃
- 空
- 海
- 雪
- ゲリラ
- 会議
- 偽装作戦
- 孤立
- 肉弾戦
- 地下壕
- 男
- ダメ上司
- ジレンマ
- 記憶
- 市民
- 友情
- 捕虜
- DJ
- 爆弾
- タランティーノ
- 女子高生
- まとめ
作戦
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- 発売日: 2011/04/22
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戦争とは血で血を争う肉弾戦でもあるが、やはり大局的な戦略観こそが勝敗を決める。
近代戦ともなれば、「やあやあ我こそは!」とただ名乗り上げた後突撃すれば良いというもんじゃなく、兵站や補給に情報や心理戦、兵士に配るコ◯ドームをいくつ配るかまで考えにゃあならん。
そんな作戦を語るにはまさに「史上最大の作戦」であったノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)が舞台のこの映画しかあるまい。
とりあえず無数の船団から放たれた無数の兵隊がぞろぞろと浜に群がり無数の死体となる様から、無数の戦車、無数のパラシュート、無数の爆発、無数の・・・
この物量を前線の兵隊に送ることを想像しながら見ると、Excelもない時代によくやったもんだと感心させられる。
そういう穿った見方で改めて見てみると、「こりゃ史上最大の作戦だわ」ってなります。
ちなみにこの前BS1でやっていたノルマンディー上陸作戦の特集が非常に良かったので、円盤化希望している。
将軍目線
実際の戦争の指揮をとるのは前線の将校である。
「偉い人にはそれがわからんのです」って言われる立場から見る戦争映画としてオススメは二百三高地だ。
二百三高地は白襷隊なる肉弾兵器が登場したくらいの激戦があったところで、よくよく前線の兵の消耗品扱いがクローズアップされる題材である。
だがしかし、あらゆる戦争映画の将校目線の中でも最も悲喜交交なのが我らが乃木希典先生である。
乃木希典は司馬史観のおかげでかなりのダメ将軍とされがちだ。
たしかに乃木は無意味な突撃で貴重な命を紙屑みたいに散らしていった。
だがザンギリ頭したての日本人が初めて見る近代要塞への戦い方なんか、誰もが初体験であったのだ。
童貞中学生がプレイメイトにアタックするみたいなものだから、そりゃ失敗もする。なんせ後から『第0次世界大戦』なんて言われるくらいの総力戦なのだ。
トドメに同郷の児玉源太郎が来てすぐにちゃちゃっと解決しちゃったのも、乃木の評判を下げる一因だったろう。
だがこの乃木希典、日露戦争中に自分の息子が二人も戦死している。さらに初めての近代要塞で攻めあぐねるうちに目の前で部下たちの死体の山が築かれていく。海軍から無茶な要求が引っ切り無しにやってくる・・・
「責任」という言葉が悲壮的に仲代達矢演じる乃木希典の背中から湧き出ている。
そして最後の明治天皇の前での号泣、そこに将軍の責任の重圧が見える。
そしてそしてこの乃木希典から真逆のことを学んだのがWWⅡの日本軍であった。
士官目線
序盤の伝説のノルマンディー上陸作戦が熱く語られがちな名作ではあるが、ここは士官目線として見てみよう。
浜辺を血で染めたノルマンディー上陸作戦からの西部戦線最前線でのライアン君探しをやらされるという、哀れなジョン・H・ミラー大尉の目線だ。
なんせこの命令自体が軍の面子のためでもあり、国民の士気を下げないための「名誉無き裏仕事」であるからだ。
お目当てであるジェームズ・ライアンくんはただの一等兵、決して要人でも何でもないが、四人兄弟中三人が戦死するという不運に見舞われていた。
軍上層部はライアン四兄弟全員死亡という悲報が国民の士気を下げ、ひいては軍の面子を傷つけるものであると判断し、ミラー大尉率いるレンジャー隊を派遣したのだ。
歴戦のレンジャー隊である彼らは、最前線で活躍するはずが、名も知れない一等兵を救うために自らの身を危険のド真ん中に投げ込まれた形になる。
不服であるのは言うまでもない。
そんな無茶な命令に対して不服すぎるアクの強い部下たちを何とかまとめ上げ、ライアン君探しに没頭するミラー大尉の努力は、涙なしには見られない。
ミラー大尉は何とかアクの強い部下たちをまとめ上げ、途中で優秀な部下を失いながらも、やっとこさライアン君を探し当てる。
だが映画はそこで終わらない。ライアン君がいた場所は、とんでもないところだったのだ。最前線中の最前線、しかも米軍がなんとか維持している要衝だったのだ。
しかもしかもそこにいたのは士官を失ったボロボロの兵隊たち、そう、ミラー大尉はこんな絶体絶命の地でムスカばりに臨時で指揮をとることになったのだ。
貧弱な装備と少数の兵達を、地形や経験を駆使して何とかドイツの精鋭に立ち向かわせるミラー大尉・・・もうこのあたりで中間管理職のおじ様たちは号泣なのだ。
軍の面子と作戦の意義と無理難題であることを重々理解し、だけれども部下たちの反発もわかってしまう、嗚呼ミラー大尉の目線こそ軍隊の士官たるものの悩み、ひいては世界のオヤジの星なのだ。
兵卒目線
ベトナム戦争映画は数あれど、濃い面子がゾロゾロ揃うのはやっぱりプラトーンだ。
密林のジャングル、突如現れるベトコン、罠、地雷、虫・・・そんな中を行くのは見た目もキャラもバラバラな「とあるオリバー・ストーンな小隊」。
キャラクター設定が極端すぎるため、毎度小さなことで喧嘩が起きる。戦地という非日常空間において、その齟齬が次第に軋轢となり、決定的な瞬間が訪れる。
プラトーンが面白いのが士官クラスが全く頼りにされていないところだ。危険極まりない現場では、実戦経験豊富な二人の軍曹が士官以上に信頼されている。
自ら死地に飛び込んでまで仲間を助けるエリアス軍曹、麻薬やレイプも辞さないバーンズ軍曹、日常ではもちろんバーンズは落第者であるがベトナム戦争では彼も必要とされている。
戦争における正と負の部分がこの二人の軍曹で表され、その間を揺れ動く主人公のクリスの心情こそが「兵卒」なのだ。
単純な戦争反対ではなく、誰にでも潜むエリアスとバーンズの部分が、ベトナム戦争という舞台で踊り狂う。エリアスは正義でもあるが偽善でもあり、バーンズは悪であるが現実でもあるからだ。
映画ではエリアスがバーンズにより殺されてしまう。飛び去るヘリコプターに追いすがり、両手を掲げながら死んでいくエリアスの姿こそ、偽善の死であり、アメリカのベトナム戦争自体だった。
兵卒目線から戦争とは何ぞやというのを少しばかり考えさせられるプラトーンは、やっぱり名作なのである。
軍隊はつらいよ
天下のアメリカ海兵隊のお話。
ハートマン軍曹という軍人の大権現様がご降臨され、傍若無人卑猥猥談罵詈雑言の雨あられを撒き散らす軍人教習ビデオ。
立派な兵隊を作るためにはどうするか?
それは徹底的に人格否定し、思考を剥奪し、組織の一部に変えてしまう。そのためには容赦無い口撃、絶え間なく続くシゴキ、無意味な行動の反復を与えれば良い。
貴様ら雌豚どもが俺の訓練に生き残れたら ...各人が兵器となる 戦争に祈りを捧げる死の司祭だ
その日まではウジ虫だ! 地球上で最下等の生命体だ
貴様らは人間ではない両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!
う~ん強烈、僕なら泣いちゃうね。
とにかく序盤の訓練シーンがしんどすぎてそこしか覚えてないくらいだ。
逆にここまでしないと人は殺せないものなのだろうか?
戦争の狂気
戦争を語る上では外せない名作であり、映画を語る上でも外せない名作でもあり、僕が一番好きな映画でもある。
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狙撃
アメリカンスナイパーかと思わせて、ジュード・ロウのスターリングラード。
なぜジュード・ロウがソ連軍兵士?とかは置いておいて、狙撃手対狙撃手の手にシモ・ヘイヘ握る静かな戦いが最高だ。
とくにエド・ハリス演じるケーニッヒ少佐の圧倒的な存在感!その立ち振舞い、溢れ出る凶気、見たこと無いけどたぶんドイツ兵そのものである。まさに意志の勝利!
狙撃手対狙撃手という異質な戦いが細かく描写されており、とにかく見ている側もピクリとも動けない緊張感が張り詰めている。
荒れ果てたスターリングラードで確かに存在する姿なきライバルとの心理戦がたまらない。
ちなみにこの映画は地上波で家族と見ていたが、ロシアの冬将軍ばりの凍てついた気不味さが茶の間に流れる名シーンがあった。
その時の我が家族は、荒れ果てた茶の間で確かに存在する姿ある家族との心理戦でたまらなかった。
空
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空の戦争を世界で初めて?大っぴらかつ主体的にそして長大かつ大博打でぶち込んだ我らが日本である。
真珠湾攻撃だ。航空機なんて艦船のコバンザメ程度に思われていた時代に、アメリカの太平洋艦隊を敵の母港で沈めてしまうというライト兄弟もサノバビッチな事をやってのけた・・・くせにそのあとの航空機運用が全くダメだったのはなぜなのか?
だが物資を持たない極東の小島の国が、猛烈な練習と五十六さんの賭けだけを頼りに、遥々太平洋を越え、空の戦いに全てを賭けたってのはロマンがある。
さらに今ではありえない実際の航空機をふんだんに使った映像美は、キルゴア中佐のヘリコプター編隊にも引けをとらない。
だがアメリカ太平洋艦隊以上の被害を受けたのは、我らがKUROSAWAだったりする。
海
JAWSとUボートを見たら、半魚人でも当分海に入れなくなるであろう。
深海に漂う潜水艦という設定は、人間の神経が研ぎ澄まされ、五感を越えた恐怖が襲いかかる。
この恐怖は、目に見えないもう一人の主人公のせいである。
酸素だ。
人間は痛みや苦しみを想像することで恐怖を感じ、問題に対処したり行動を選択する。謂わば恐怖とは生存本能なのであるが、一番怖いのは「窒息」なのかもしれない。
潜水艦とは窒息と装甲一枚で隔てられている。あの異常な緊迫感は、窒息と隣り合わせな環境がそうさせるのだろう。
なので高地トレーニングが必要な人は、狭い部屋でUボートとゼログラビティを連続で見てみよう!
雪
戦争映画というか演習映画ではあるが、これぞまさしく軍隊でもある。
実際にあった事件を題材にしているが、よくもまあこんな暗いだけの話を映画化したものだ。
軍の面子、組織としての建前、上下関係、そんな軍隊の本質が遭難という事実に気づき始めるうちに徐々に崩壊していく。
210名中199名が死亡し、生存者も手足や指を凍傷で失うという大惨事は、幾つもの不運と認識不足が重なりあった悲劇でもあった。
雪は絶望だ。
絶望的な現実を見せるだけ見せておきながら、じわじわと息の根を止めに来る。
小さい時にこの映画を見たせいか、スキーなんかも一切したことがない。
ちなみにタロとジロは出ない。
ゲリラ
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ゲリラといえばチェ・ゲバラである。
この映画はゲリラ戦術のなんたるかを少しだけ垣間見ることができる。
ゲリラと行ってもキューバ革命の場合は、バティスタ政府軍と闘いながらも地元の農民たちを取り込み、革命に参加させるという難題があった。
ゲリラ戦術で損失をできるだけ排除しながら、敵の末端部を叩いていく。決して無理も深追いもせず、されど敵と国民に存在をちらつかせなければならない。
占領地の住民の協力がなければ、キューバ革命は成されなかったのだ。
その術を熟知していたのがフィデル・カストロだ。カストロに敵の捕虜への治療を命じられた軍医ゲバラは反発するも、次第にその意味を理解していく。
39歳のゲバラはキューバ革命で学んだことを世界の貧しい人達のために使おうとした。
そして死地であるボリビアに向かった。
ゲリラと聞くとテロリストのようにも思えるが、意外に解釈は広い。
キューバ革命の成功とボリビアでの失敗の両方を見ることで、ゲリラの姿を感じることができる。
会議
戦争には会議はつきものだ。
世界一の会議好きな我らが日本の『会議力』の極致がここにある。
アポ取り、根回し、責任のなすりつけ合い、恫喝、泣き落とし・・・会議の全てがここにあるからだ。
なかなか決められない国民性は、降伏という超弩級の決断の前にオロオロするばかり。
軍の上層部は面子と責任のなすりつけ合い、若手将校は血気盛んにクーデター、政治家は慌てふためき、下っ端は振り回される。
宙ぶらりんの責任は天皇の肉声と陸軍大将の切腹で何となく治まった。
玉音放送の裏に秘められたなが~い会議は、国家存亡を賭けた戦争の仕舞い方でもあった。
移ろいゆく妥協という名の落とし所・・・大小あれど今の日本でそこら中に垣間見ることができる日常でもある。
「なんだ、会議だけでドンパチねえのかよ・・・」と思ったあなた!超豪華俳優陣の名演技が一切飽きさせないのでご安心を!黒沢年雄は特に必見!
あ、もちろん岡本喜八版を見よ!
偽装作戦
ヒトラーの思いつきで事もあろうにチャーチル誘拐を命じられた可哀想な人達の話。
エンタメ色が濃いが、作戦は割りと綿密で意外にドキドキする。
イギリス本土にポーランド義勇軍のパラシュート部隊として潜入することに成功し、さあさあこれからという時に驚きの出来事により作戦が露呈してしまう。
こういう映画って、バレないように色々と計画している時が一番楽しい。そしてその一つ一つが試されていくさまがたまらないんだなあ。
若きマイケル・ケインがこれまた良い!
孤立
キャッチコピーは「ヘリコプターが落ちたらそこは敵のど真ん中でした」
簡単な作戦かと思いきや、度重なる失態や不運により絶望的な状況に追い込まれていく。
簡単な作戦だと思っていたので手持ちの武器弾薬も少なく連携もうまく取れていない、そして敵が思っていたより強力で包囲網から抜け出せない・・・こういった「やっちまった感」が好きな人には特にオススメ。
またこの敵というのが民兵であり、どれが敵なのか一般市民なのか区別ができない。挙句の果てにそんな民兵犇めく拠点のド真ん中に閉じ込められちゃうドMプレイなのだ。
最新鋭の武器を持った最強の米軍が、RPGを担いだ民兵に取り囲まれて孤立しているという構図は、これ以上ないシュールさを醸し出す。
そんでもってこれ実話なのよね。
事実は小説よりも奇なり。
肉弾戦
決して丘にあるハンバーガー屋さんの話ではなく、「この丘は俺たちをハンバーガーにしようとしている!」という名台詞が光る肉弾戦映画である。
ベトナム戦争のある丘を巡る戦いでアメリカ精鋭部隊がミンチにされちゃう実話。
あまりにも損失が大きく、アメリカ敗退のきっかけの一つとも言われている。
ベトナム戦争映画といえば、最新鋭の兵器と最強の兵士で構成されたアメリカ軍が、農民あがりのベトナム兵にじわじわと蹂躙されていく「WHY?」の連続こそが魅力だ。
圧倒的な火力に兵站、制空権すら支配して楽勝ムードだったアメリカ軍のすぐ足元で、米だけ食いながら必死に穴を掘っていたベトコンが最終的な勝者となった。
そんな矛盾がこのハンバーガーヒルで露呈する。
そして激戦地で命を削りながら何とか戦い抜く兵士たちが、国内の厭戦気分に苛立つさまが、まさに巨像とアリの戦いの生むジレンマそのものである。
地下壕
1945年のベルリンにある総統地下壕に漂うのは「絶望と死」、そしてそこから醸造される退廃だった。
イケイケだったヒトラーも今は昔、今や迫り来るソ連軍の足音が聞こえるような状況。
広げた風呂敷が大きければ大きいほど、それが敗れた時の喪失感は計り知れない。なんせ世界最高と自負したアーリア人の千年帝国が、野蛮なアカ共に蹂躙されているんだから。
カリスマ性をすっかり失った半病人の老人が喚き散らす姿には、かつての偉大な総統の面影はない。
地下壕は時折爆発音と共にズシンと揺れる。絶望的な状況が深まるほど、その音と揺れが大きくなっていく。そしてヒトラーの最後の威勢すら聞こえなくなり、独裁者は婚約者と死出の旅に出る。
ネタ動画としてお馴染みだが、最後まで見ていくと何とも陰鬱な映画である。
栄光の第三帝国の軍人や高官達が次第に壊れ始め、酒や女、そしてタバコまでふかして馬鹿騒ぎをはじめる。タバコを絶対禁忌にしていたヒトラーの前にも関わらず。
この諦めから生じた退廃の雰囲気を、とてもよく映し出している。
なんせ退廃を死ぬほど嫌ったヒトラーの死が題材なのだから。
男
戦場、それは男の華である。
野蛮だと言われようが、なぜか戦場で勇気ある行動を取れる兵士を見て、我々男は憧れてしまう。
もうこれは石器時代以前から続くオスの伝統なので、女性にはいくら説明しようとわかってもらえないだろう。
そんな憧れの男性像こそ、「戦争のはらわた」の「シュタイナー曹長」演じるジェームズ・コバーンだ。
もう渋いね!渋すぎて周りを染めちゃうくらい激渋だ。言葉ではうまく表せない男のカッコ良さなので、映画を見てくれとしか言いようが無い。
有能すぎるシュタイナー曹長は部下からの信任は厚く、戦場でも頼りになる。だがしかし軍の階級から見ると、扱いづらい異端児でもある。
源頼朝・義経兄弟の関係のように、何とも言いがたい男の嫉妬がそこにはある。
そしてこの映画最大の見せ場はソ連女兵士との対峙である。
ある小屋に押し入ると、そこにはご休憩中の美人揃いの女性兵士たち。しかも由美かおるばりのお色気入浴シーンまで。
そこからあとの緊張感・・・これもまた見てもらうほかあるまい。
ダメ上司
ダメ上司に泣かされた全世界30億人の皆様、「遠すぎた橋」の世界にようこそ!
とある英国紳士の個人的な嫉妬により、マーケット・ガーデン作戦なる空想科学妄想が実現された。
計画性もなく、至る所が穴だらけで、ほとんど希望的観測でお送りされたこの作戦は見事大失敗に終わる。
「ダメだったねえ。テヘヘ」で済まされないのが戦争であり、敵のど真ん中に落ちていった落下傘部隊なんて可哀想過ぎて直視できない。
映画自体は長くて眠くなりそうだが、渋ちんのジーン・ハックマン、葉巻中毒のエリオット・グールド、かくれんぼするショーン・コネリーなんかが見れたりするので僕得ではある。
ジレンマ
ジャーヘッドとは刈り上げた海兵隊員の頭が瓶に似ているからとか。
フルメタルジャケットばりの厳しい訓練によって、頭がカラになるからという意味もあるとか。
表題は「ジレンマ」である。
舞台は湾岸戦争。厳しい訓練で「人を殺す術」を習得した海兵隊員たちではあるが、来る日も来る日も砂漠での訓練や待機が続く。
一応前線に来てはいるが、すでに時代は兵士たちの生死を賭けたぶつかり合いの必要がなくなっていた。最新鋭の飛行機やミサイルだけで、戦争が行われるからだ。
結局、主人公は誰も殺すことなく、それどころか敵に向けて発砲する機会すらなく、戦争は終わってしまう。
鍛え上げた体、頭をカラにしてまで軍人色に染め上げた心、そして血と涙が混じった時間、その全てが何の結果も感じることなく終わってしまった。
自分たちの存在意義は何なのか?あれだけ苦労してきた時間は何のためにあったのか?戦争とは何なのか?
そんなジレンマが空の瓶に詰まった稀有な戦争映画。
記憶
レバノン内戦で起きたサブラー・シャティーラ事件が元になっている。
イスラエルがこういった戦争犯罪側として描かれる映画はあまりない。
ホロコースト以後、ユダヤ人を取り巻く一定の言論封殺の中で、イスラエル人自身が作った映画だということに大きな意義があろう。
記憶喪失になったあるレバノン内戦の帰還兵が、市民やかつての同僚たちに会いに行くことで失われた記憶を取り戻しに行く。
イスラエルを取り巻く中東情勢はかなり難解なので予備知識がないと難しい題材ではあるが、戦争が持つ負の記憶という部分に限ればそれは人類の普遍的な問題の中の一つである。
Waltz with bashir-Waltz scene(With English Subtitle)
アニメーション映画だが、これ以上ないリアルさと悲壮感が漂う。
ワルツシーンは数ある戦争映画でも、これほど悲しくも美しい人間の姿はないと思う。
市民
戦争で一番被害をうけるのはもちろん市民である。
特に第二次世界大戦は、軍人市民問わず大量の死者を出したまさに悲劇であった。
この史上最も悲惨な戦争の中で最も被害を受けた地域の一つが、この映画の舞台であるポーランドである。
序盤のポーランドの美しい町並みが、最後のシーンで完全な廃墟として映しだされるとき、これほど悲しいことはなかった。
ストーリーでは、破壊されるポーランド、ナチスによるユダヤ人の民族浄化、この二つの恐怖が少しずつ進んでいく。
迫り来る恐怖と変わっていく日常、これこそ市民の戦争なのかもしれない。
友情
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「戦争と友情」、このテーマは幾度と無く使われている。
「ディア・ハンター」は戦友ではなく、本当の友情が戦争によって翻弄されていくさまを描いている。
映画はアメリカの片田舎ロシア系移民の町の若者たちの何気ない日々から始まる。どこにでもいる田舎の若者で、バカやったり女の話をしたり酒を呑んだりたまに狩猟に出かけたり・・・そんな彼らにベトナム戦争が少しずつ近づいていく。
舞台は一気にベトナムへ。友人達は戦場で再開する。そこはベトナム兵に捕らわれた竹で出来た檻の中だった。
彼らはベトナム兵により、ロシアンルーレットゲームをやらされる。これぞ戦争の狂気の一つである。人の命など、博打の道具でしか無い。
何とかその場から逃れることが出来たが、仲の良かった友人であった彼らはもう以前と同じ人間ではなくなっていた。
主人公のマイケル(ロバート・デ・ニーロ)は戦争によって変わってしまった友人達を昔のままに取り戻そうとするが、最後に悲劇が訪れる。戦争に取り憑かれた人間は、最後の最後に友情の力でほんの少しだけかつての自分を取り戻せた。だがそれだけだった。
反戦映画の秀作であり、先日亡くなってしまったマイケル・チミノ監督の代表作でもある。
捕虜
捕虜との交流により、人間の醜悪な部分から崇高な部分までを映し出す名作。
デビッド・ボウイ演じる強気なイギリス兵により翻弄される、勝者であるはずの日本軍。勝者と敗者の関係の狭間で揺れ動く感情が、もどかしくも時に滑稽で、そこが捕虜という存在自体の矛盾のような気がする。
配役は良いような悪いような何とも言えないが、ビートたけしは良かったんじゃないかなあ。「大脱走」と迷ったけど、こちらの心理描写のほうが面白い。
ちなみに暴力シーンも多いが、野坂昭如をぶん殴る大島渚監督ほどのリアルさは残念ながら描けなかったようだ。
DJ
プロパガンダや戦意高揚といった目的で、戦争にはDJまで必要になってしまった。
日本にも東京ローズ先輩がおられるが、こちらはベトナム戦争が舞台。
ロビン・ウィリアムズ演じるDJクロンナウアは、軍の上層部と対立しながらも、前線の兵たちから猛烈な支持を受ける。
戦争映画なのに戦闘シーンすら殆どない珍しい映画だ。
だがしっかりした戦争映画で、あるベトナム人少年との出会いがクロンナウアを少しずつ変えていく。
笑いありの反戦映画、とにかくロビン・ウィリアムズって良い俳優さんだったなあ~
爆弾
絶対やりたくない仕事「爆弾処理」が題材の映画。
爆弾処理シーンは結末がわかっていてもドキドキする。
特に冒頭の爆発シーンは、いやらしい速度のスローモーションで、いやほんと爆弾処理やりたくないって思わせる。
仕事しているさまは地味なんだけども、やってることはクレイジー。爆弾に込められた敵の意図は、解体してみなければわからない。
まさに込められた憎しみの解放、いやあ絶対やりたくない。
そしてこのキャスリン・ビグロー監督、「K-19」も撮っているのね。しかもジェームズ・キャメロンの元妻なのね。
タランティーノ
見事なタランティーノ節。
序盤のランダ親衛隊大佐(クリストフ・ヴァルツ)のユダヤ人狩りシーンと、バットで頭をふっとばすヤバイユダヤ人だけでもう僕はお腹いっぱい。
とにかくクリストフ・ヴァルツが良すぎてウットリしてしまう。最後もね。
タランティーノ節の長台詞とハーケンクロイツが好きな人は必見。
女子高生
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※オチです。
WWⅡの硬派な戦車と女子高生という相反する関係性だけで全話引っ張っていくさまは、パットンもびっくり。
最近こういった全く違う物との意外な親和性を無理矢理作っては撃ち、作っては撃ち、気づけばマーケットを占領しているなんていう電撃戦が日本のエンタメで流行っている。
ストーリーはスポ根系、キャラクターは萌え、主題は戦車、これちょっとイジればなんでもできそうだ。
無理矢理設定なので後付でどうにもでき、カーボンコーティングとかで絶対に死なない設定だとか。
何だよこれ・・・でも僕は小山柚子ちゃん派です。
まとめ
またまた物量作戦で好きな映画を殴り書きしてみた。
戦争映画は本当に良作が多く、また学べることも多い。
そしてどんな映画にも反戦のメッセージが込められている。
こういう戦争モノに過剰反応する人達が多いようだが、宮﨑駿だって反戦主義者だけど超がつくミリオタなんだぜ!要するにそういうことだよ。
憲法9条がどうの、戦争反対がどうの、中国がどうの、アメリカがどうの、テレビでバックと面子と財布のことしか考えてない政治家や評論家の話を聞くくらいなら、この『炎628』を見たほうが良い。
これ見たらネトウヨ的戦争礼賛も平和ボケな戦争反対も軽々しく言えないだろう。
まだ見ていないけど、スターリングラード、橋、高地戦なんかも見てみたい。
他にもオススメな戦争映画がありましたら、教えてください!
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