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脳内バックパッカー

自宅にいながら映画や本の世界で旅をしよう

アメリカ人が大好きそうな青春映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」

ストレイト・アウタ・コンプトン (字幕版)

アメリカは西海岸、ギャングスタラップの創始者である「N.W.A」というラッパーたちの青春群像劇。

もうアメリカ人が大好きそうなエピソードなので、大ヒットしたのは言うまでもない。

しかも実話。

 

 

アメリカンドリーム的ピカレスクロマン

悪ガキ達→事業に成功→アメリカンドリーム(車・酒・女・クスリetc)→金による仲違い

これ、アメリカ人が大好きなストーリー構成で、日本でいうと「水戸黄門」「アンパンマン」だよ。

アメリカ人は貧しい若者が大成功する・・・だけじゃなくて、そこから金のせいで人間不信になっていき最終的に孤独になるというストーリーがイタくお好きなようだ。

例えば、

 

ゴッド・ファーザー (字幕版)

ゴッドファーザー3部作のマイケル(アル・パチーノ)なんかもそう。

コルレオーネ・ファミリーや愛する家族のために、どんどん組織を大きくしていけばいくほど皆に嫌われちゃう。

 

 

スカーフェイス (字幕版)

こっちのアル・パチーノなんて、麻薬で一財産こしらえた後、最終的に孤独すぎて一人蜂の巣にされちゃう。

 

 

カジノ (吹替版)

カジノのデ・ニーロの頂点からの没落ぶりなんて、アメリカ人の大好物である。

 

 

ソーシャル・ネットワーク (字幕版)

ストレイト・アウタ・コンプトン」に一番近いのは、ソーシャル・ネットワークだろう。

こちらはギャングの対極にいる超エリート学生の話で、仲間と一緒に立ち上げたあるサービス、そう!かの「Facebook」によって巨万の富を得る代わりに、かつての友人達と血みどろの裁判沙汰を繰り返す話。

まさしくストレイト・アウタ・コンプトンも、このアメリカンドリーム的ピカレスクロマンな系譜を踏んでいる。

 

N.W.Aの大成功 

 

 

ただの「ロスのラッパー」だった彼らは、放送禁止用語だらけのリリックを武器に、一夜にして大成功を収める。

だがその金の配分を巡って、ラッパーであり出資者でもあるレーベルの社長イージー・Eとマネージャーであるジェリー・ヘラーVSその他のメンバーの対立が起きてしまう。

 

ジェリー・ヘラーのポジションは、こういった映画にとって一番大切な『友情を札束でひっかきまわす』役となっている。

この役どころの厭らしさ、意地汚さが映えれば映えるほど、映画内の不協和音がリアルになっていく。

マネージャーであるジェリーは、たしかに成功の一躍を担ったが、メンバーが稼いだ多額の金をピンハネしていた。

それを庇うイージー・Eと、その他のメンバー(アイス・キューブ・ドクター・ドレー)の反目により、N.W.Aは瓦解してしまう。

※ちなみにアイス・キューブ役はアイス・キューブの実の息子であるオシェア・ジャクソン・Jrが演じている。似すぎ。

 

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アメリカ人が好きなあの感じ

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結局、独立したメンバー(アイス・キューブ・ドクター・ドレー)は超有能なので、大ヒットを飛ばしていく。

落ち目のレーベル社長となったイージー・Eは、クスリと女に溺れていく。

このあとはネタバレになるので、書きはしないが、結局悲劇的な終りを迎えることとなる。

 

その時、アメリカ人が好きなあの感じが猛烈に噴出している

「俺たちケンカ別れしちゃったけど、あの時が一番楽しかったよな~」的なアレである。

たしかに大成功した。金はあるし、豪邸も買えたし、ベッピンでボインな女房と子供もいる、でも大切なものを無くしちまったぜ・・・

そんな郷愁感・・・やっぱり友情だよね!大事なものを見失っていたぜ!

 

この感じ、アメリカ人が大好物です。

アメリカ人が誇るアメリカという国、フロンティア精神時代からのアメリカンドリーム幻想、そしてそこからのルサンチマンと原点回帰、このめくりめく感情のうねりこそ、アメリカのパワーなのだ!

 

 

まとめ

たぶんトランプ氏も大好きな映画。

ラッパーというだけで敬遠するなかれ。

ドキュメンタリータッチで、入念に移りゆく人間心理を捉えている。

 

それにしてもアメリカンドリームが炸裂すれば一気に金持ちになるけど、もう桁が違う。

ここまで極端過ぎれば、そりゃ頭もおかしくなるし、変な奴も寄ってくる。

こういった映画で最初に手を差し伸べた奴が、一番ヤバイやつってのがお決まりなんだけど、その人もやはりアメリカンドリームを嗅ぎ取れる才能があったんじゃなかろうか?

成功と嫉妬、それに拍車を賭けるマネー、やはり人間は汚い生き物みたいです。

ホリエモンとかトランプのほうが、よっぽど正直者かもしれない。

 

あとこの映画を見て、アメリカの黒人ラップというのは、日本人が思う「チェケラッチョ」みたいなのとは程遠いというのは感じた。

あまりラップには詳しくないが、アメリカでは貧困や差別や暴力に対する怒りの吐き出し方がラップで成功を掴むっていう形のようだ。

映画の舞台、ロサンゼルスのコンプトンは全米でも屈指の治安が悪い地域だ。そこには守ってくれるはずの警察による露骨な差別と暴力まである。彼らの代表曲にあるような警察像だ。

そんなひどい中で生まれたのが、N.W.Aであり「Straight Outta Compton」なのだ。

 

だからかなり意味合いが違うかもしれないが、日本でいえば「演歌」に近いのかもしれない。演歌も寒くて暗くてひもじい歌が多いし、ビッグマネー掴んだ人は成功者扱いだし、そして◯◯◯な人とも仲良しみたいだし・・・