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職場の現状維持バイアスの原因は2種類ある。

現状維持バイアスとは、「大きな状況変化ではない限り、現状維持を望むバイアス。未知なもの、未体験のものを受け入れず、現状は現状のままでいたいとする心理作用のこと」※はてなキーワードさん

この現状維持バイアスが職場に蔓延していると非常に厄介である。

そしてこれこそ日本のブラック企業というか日本の社会の宿痾でもあるとも思う。

この現状維持バイアスに取り込まれた我が職場から見る、2つの現状維持バイアスを恥ずかしながら晒してみよう。

 

 

職場の現状維持バイアス

職場の現状維持バイアスとは、「時代や合理に挑戦するよりも慣習を是とする」という空気、もしくは企業の運営姿勢だ

我が社はモロにそんな感じである。時代や制度の改定によって、大きく収支や運営方針を捻じ曲げられる業界であるにも関わらず、何年も何年も同じことを繰り返している輪廻の呪縛にとらわれている。

若手や現場はその危機を十分に理解し、何とか努力しているのだが、経営陣や幹部クラスの脳みそにこびり付く現状維持バイアスによって、ダラダラと死へ向かっている。

僕はその中で孤軍奮闘戦っている=空回りしているのだが、この現状維持バイアスという要塞を前にして、白襷して肉弾突撃するくらいしか方法がない有様。

有志の「やる気」の死体が累々と重なり、そして児玉源太郎は現れない・・・

 

愚痴はさておき、僕の邪魔をする現状維持バイアスを2種類に分けてみたので、対策を述べる。

 

Ⅰ,コミュニケーション不足‐現状維持バイアス

コミュニケーションとは、相手や対象だけでなく自分を知るための手段である。

コミュニケーションがなければ、必然と内向き思考に陥る。

よって一度正しいと決めたことや古い成功体験が「錦の御旗」となって、現状維持バイアスを推し進める。

 

①社内のコミュニケーション不足

頭が固い経営者や幹部が支配する場に起こるコミュニケーション不足による、硬質化した企業や職場。現場の声が掬い上げられず、腐ったヘドロの中だけで物事が決まってしまう。

経営者がワンマンだと、おべっか使いの幹部、事なかれ主義の幹部、太鼓持ち幹部によって、一層ひどくなる。

口癖「今までこれでうまくやってきたんだから!」

 

②外部とのコミュニケーション不足

不勉強や最新情報を無視することにより起こる、内向き経営。

同業者との交流もないと、尚更悲惨。

非流動的な人員による、無酸素パクパク部署が足を引っ張る。

口癖「他は他、内は内」

 

物事を変えるということは、非常にエネルギーがいるし、誰でも億劫になる。

しかも日本の会社はほぼ100%が人員がギリギリかちょっと少なめなので、そのハードルは高い。

そこにコミュニケーション不足による情報不足と硬質化した人間関係が影響し、現状維持バイアスという名の「先送り」が発生する。

 

うちの職場は上と下の情報差がとにかく激しい

上は儲ければなんでも良いので玉石混交の情報を鵜呑みにし、下は現場の声を統制することもせず文句ばかり言う。

結局、上は現場の苦労を知らずに非現実的な仕事を押し付け、下は目先の仕事だけに追われ不平を言いながらその場しのぎを繰り返す。

そんなことで、最終的にはデキる一部の社員と断れない哀れな社員に皺寄せが行き、夜遅くまで残って処理させられることに。

なので運営指針みたいなものは曖昧になり、皆がバラバラに仕事する羽目になっている。

まあ大抵の職場はこんな感じだろう。

 

 

Ⅱ,自己保存型現状維持バイアス

ここでいう自己保存とは、現状維持することによって利益を得ている(と思っている)者が、現状の環境を死守すべく妨害工作または妨害システムを構築することを指す。

 

例えば、改革により「自分の失敗が明るみに出ることを恐れる」、「他者に自分よりも高評価が与えられることを恐れる」、「新任者と比べられることを恐れる」、「現在の地位が揺るがされることを恐れる」のような感情を抱く者が現状維持バイアスを作り上げる。

この利益というのは、金銭や昇進争いだけでなく、心理状態の安定も含める。

 

これはある程度は仕方がない、誰しもが持ち得る感情だ。 

人は比べられることを忌避する傾向にある。

自分の面子を守りたい、恥をかきたくない、という自分のアイデンティティーを守ろうとする防御反応=自己保存が現状維持バイアスの源となる。

かく言う我が社の主任クラスも、「わざと部下に仕事を教えない」や「新しい提案をすると嫌な顔をする/小言を言う」ような輩もちらほら。

挙句の果てに、自己保存グループ内での根回しによって、会議中謀反を起こすような強行守旧派までいる。

彼ら彼女らは己の面子のために、平気で経営や部下の待遇改善を邪魔する。

これが行き過ぎるような環境になると、本来の目的よりも違う方向に多大なエネルギーが注がれるようになり、現状維持バイアスの源泉となってしまう

でもなぜかそういう人に限って、良いポジションにいるんだなあ。

 

また質の悪いのは、気づいていないにも関わらず自己保存型現状維持バイアスが発生している事案だ。

うちの職場でいうと、死ぬほど仲の悪い女性グループがある。常時、裏でお互いの悪口を言い合っているにも関わらず、表面上いつも一緒にいる『中学校のDQN女子グループ』である。

彼女らは、お互いの決して表面に出さないい真意を探るために悪口や揚げ足取りをしている。その結果、口撃にビビってしまい動かなくなる職員、ちょっとした失敗で袋叩きにあってやる気を失う職員、面倒くさいので無視する上司のような地獄絵図と化す。

かくいう自分たちも揚げ足取りをしすぎた結果、失敗を異常に恐れるようになる。

すると現状から少しでも変わってしまうと、新しい挑戦=失敗の可能性となる。

ここで意図しない自己保存システムが発動し、彼女らがとにかく現状維持に固執する。よって組織は停止し、アンパンマンみたいに毎日同じようなことが繰り返されるのであった。

 

 

以上が職場の現状維持バイアスの原因の考察だ。

だいたいⅠとⅡは同じような傾向で、だいたいセットで現れる。

組織はまとまって一つの目標に向かって進むことで最大の効果を発揮するが、現状維持バイアスを生む組織は「組織の維持」がやっとの状態だといえる。

コミュニケーションで組織の統制と齟齬の修正をしながら、社員に個人の自己保存を越えた組織的行動を促すことで、組織の力を最大限に利用できる。

逆に言うと、現状維持バイアスの職場は社員に責任を丸投げしすぎなのかもしれない

 

 

 

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対策

結局のところ、こういった空気が支配している企業なんて潰れてしまえばよいのだが、路頭に迷うのは困っちゃうのでなんとかしたいものだ。

そこで一社員ができる対策を考えてみる。

 

コミュニケーション不足‐現状維持バイアス対策

これは『根回し』しかない。

こういった腐ったヘドロのような人間関係内では、残念ながらこの根回し以外方法はないように思える。クソ面倒だが、遠回りなのに一番てっとり早い。

コミュニケーション不足職場に必ず存在する対立構造を有効に使うと尚良し。仲の悪い人間同士の対立関係をうまく使えば、すんなり通る。面子を立てつつ、面子を揺さぶれば意外にうまくいく。でも一回すごく怒られた。

根回しは、誰しもの顔を立てなければならないため、時間はかかるし、妥協的なものになる。これぞグローバル化に乗り遅れた日本企業の姿ではあるまいか?

 

自己保存型現状維持バイアス対策

自己保存型は、個人因子が非常に大きい。

そのため、僕は有志だけで仕事をするようにしている。有志といっても、やる気があるというわけではなく、現状維持バイアスに嫌気が差している有志たちである。

自己保存に勤しんでおられる方たちは、自分自身を客観的に見ることができていないので、あえて場から外してみることで疎外感という名の客観視を与えてみる。

これは一部にかなり効果があった。

特に揚げ足取りばかりしているグループには、揚げ足取りをしている際に自分たちは蚊帳の外においているという矛盾を、やんわりと気付かせてあげる優しさが必要だ。

だが一部にはこれまたすんごい怒られた。

 

最も効果的な対策は定期的な人事異動か、外部からの矯正だと思う。

定期的な人事異動はなかなか難しいが、変に固定的な人間関係やグループ形成が行われないし、後々人員が変わるのだという意識があるだけでも大いに違う。

またこういった状態は内発での矯正は不可能に近いので、外発からの矯正は有効だ。

コンサルタントでも良いし、外部からデキる人材を引き抜いてくるのも良い。

ちなみに我が部署に今度かなりデキると噂の40代男性が入社予定なのだが、我が女部長は全力で回避しようと頑張っておられた(頼むから仕事してくれ)

 

 

だが当たり前だが根本的な解決は、一社員では到底不可能に思える。

名著「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」も、なんだかんだそう言っている。

しかも現状維持バイアス蔓延るような会社では、絶対上からの自浄作用は発生しまい。

一度痛い目に・・・とあるが、これまたこういった会社では、盛り土的無責任構造が見事に染み渡っているので、結局有耶無耶で学習作用は一切ない。

僕が前に在籍していた某社は、見事とある法改定によって今地獄を見ているとか。元同僚曰く。

 

 

まとめ

う~ん、結局経営者でもないとこの現状維持バイアスの完全破壊は難しいという答えしか浮かばない。

現状維持バイアスにならない組織作りは、

①活発で萎縮のない円卓コミュニケーションによる情報共有

②定期的な外部の思考の注入

が最低条件だと思う。これも優秀なリーダーが必要だ。

 

かくいう僕もこの間昇進したのだが、エライ人が集まる会議に出て年季の入った冷戦幹部会の陰惨な責任なすりつけ合いを見ると「だめだこりゃ」思考停止に陥る。

複雑に絡み合った人間のエゴや面子や既得権益なんかで、組織は非力なガリバーになっているのだ。う~ん動けん!

結局、問題が多すぎるからこそ、やる気がなくなってしまう。膨大なエネルギーと膨大な時間を浪費してまで、現状を変えようという気がなくなってしまう。

ならば自分の仕事だけうまくやって、あとは適当にしておこう。それこそが、「うまくやっていく」ベターなお仕事方法なのだ。

そして気づけばわたしも現状維持バイアス?

 

どんな会社にも、どんな組織にも、現状維持バイアスはきっとあるだろう。

だがそれに取り込まれてしまうと、例の電通の過労自殺のような悲劇も生んでしまう。外から見ると完全な異常であることも、現状維持バイアスによって練り上げられた慣習は「歴史」になってしまう。

神格化された歴史は内向きに内向きに閉ざされていき、やがて電通や東電みたいになっちゃうんだろう。

 

 

ゆとり世代がすぐ辞めちゃうのは、根気がないんじゃなくて、そういった悪習に慣れていく自分が嫌になってしまうからではなかろうか。無個性で確信的矛盾のスパイラルに取り込められることの非合理性に。