ルパン三世カリオストロの城を語る!
ルパン三世カリオストロの城
結局はこれなのである。
以上。
・・・って言いたくなってしまう史上最強の娯楽作品。
金曜ロードショーで毎年見ているにもかかわらず、気がつけば銭形と一緒にウインクさせられてしまう恐ろしい中毒性。
監督は言うまでもなく生ける伝説、宮﨑駿である。
ちなみに長編映画初監督作品である(興行的には・・・)
宮﨑駿の最大の魅力はその動きの描写に尽きる。
スピルバーグをして「完璧」と言わしめた序盤のカーチェイスシーンの車の生きているかのような動き、次元と取り合うスパゲッティのウマそうな質感、屋根を猛スピードで駆けて行くルパンの超人的な走り、クラリスの顔を覆うくらいな伯爵の巨大な手、浮かび上がるパンツ、城内を駆け巡るルパンと銭形・・・
コマ送りで見ると非現実的でありえないキャラクターのシルエットが、一度動き出せば思わず体が動いてしまいそうになるくらい引きこまれてしまう。
大げさではないがリアルではない、「トムとジェリー」以上「あぶない刑事」未満の動き。
そんな宮﨑駿作品のキャラクターの動きを見ていると、どこか懐かしい気持ちになる。
多分あれは「子供の頃に思い描いていた自分の動き」のような気がする。
ジャングルジムから飛んだ瞬間、頭の中にある自分のシルエットはまさにルパンのような姿だった。実際は不格好でズッコケて泣いてしまうものだが、子供の頃の僕の理想の姿とはあのルパンの動きだったような気がするのだ。
そしてあのシナリオ。
内容は説明不要だろうが、特に驚かされるのはこの内容で1時間50分しかないということだ。
見終わった後に「え?まだこんな時間?」っとなんか得した気分になる時空をひん曲げてしまうような濃厚ストーリー。
喜怒哀楽がマシンガンの如くぶっ放され、キャラクターは飛んだり跳ねたり、ハラハラ・ドキドキ、渋ちんオヤジの哀愁に悲しい公務員のヤケ酒、そして伯爵の気色悪い卵の食い方までが1時間50分で収められている。
もう卵焼きが取り出せないくらいギッチギチに詰まった弁当箱のような収納ぶり。
おそらくもうワンシーンでも加えたら崩壊してしまうような攻めまくったシナリオ、そう考えるとなぜかドキドキしてみてしまう。
ちなみにクラリスは「オタク」「萌え」を生み出した元祖ともいわれている。※諸説あり
クラリスみたいな女性と結婚したいと思った男どもは今や現実に打ちひしがれているだろう。
目を覚ませ!こんな生物は存在しない!!!
国産初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」のヒロインにガチで恋をしてしまった宮﨑駿だからこそ『恥ずかしげもなく』描けたのがクラリスである。
オタク嫌いの宮﨑駿が生み出したクラリスが萌えの元祖だとしたら、こんな皮肉はなかろう。
映画とは何か!?
それはキャストや音楽の薀蓄や監督の思想の探りあいなんかではなく、「ポップコーンが気づいたら湿気っているような映画」ではなかろうか?
なんておすぎを全否定してしまいそうになる「カリオストロの城」は最高であり、お~ともだちになりたいわ~なのである。