スコセッシ監督のおすすめ「実録ジェットコースター人生映画シリーズ」

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世界の男たちが愛する映画監督マーティン・スコセッシ

多作かつ名作揃いの名監督だが、その中でも特にオススメなのが「ジェットコースター人生映画シリーズ」である。

これは、「アメリカンドリームで大金を掴み、幸せの絶頂から垂直落下式に運に見放され自業自得の地獄まで落っこちる映画」のことをいう。

今回はそんなスコセッシ節炸裂なジェットコースター映画をまとめてみる。

 

目次 

 

スコセッシ節「ジェットコースター人生映画」の基礎

だいたい起承転結はどれも同じなので、簡単に典型的な流れを書いておく。

 

①起

主人公はアメリカンドリームを夢見る青年。野心家だが、だいたい出自は貧しい。

 

②承

だいたい悪の組織に加わり、人脈や頭脳を駆使してどんどん成り上がっていく。

だいたい時代の潮流に乗っていく。そしてだいたいこの辺で女かクスリに手を出し始める。

気づけば莫大な財産を築く、そして決まって超絶美人だが性格最悪な美女と結婚する。

だいたい結婚式の幸せそうなシーンが流れたら、折り返し地点だ。

 

③転

浮気がバレる、シャブ中になる、FBIが登場、嫁さんが罵声を浴びせてくる・・・

この当たりから悪事がバレそうになり家業は傾き、仲間に裏切られ、家族は崩壊していく。

この落方の描写こそ、スコセッシ節の極意であるから刮目してみよ。

 

④結

だいたい逮捕され裁判になる。だいたい裁判で仲間を裏切る。もちろん家族に捨てられる。

「こいつ自業自得やんけ」と思った時にエンドロール。

 

これぞスコセッシ節の美しき青きドナウ。ここからは見事にこの流れに沿ったオススメ映画を紹介する。

 

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グッドフェローズ

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スコセッシのジェットコースター人生映画最高傑作は、間違いなく『グッドフェローズ

アイルランド系の貧しい少年ヘンリーが、イタリア系マフィアの一員になり、成り上がっていく話。

スコセッシ監督映画で決して外せないデ・ニーロとペシ兄さんが揃って登場している。

 

マフィア内で出世していくヘンリーは、その中でもとりわけ凶悪なデ・ニーロとペシ兄さん演ずるジミーとトミーと共に悪事に手を染めていき、莫大なマネーを手にする。

この映画のジミー&トミーはとにかく凶暴で、特にトミーが少しずつキレていく様は本気でビビってしまう。

マフィア役ペシ兄さんは、チビでギョロ目で決して怖そうな感じではないのだが、とにかく「ヤバイ」という言葉だけで思考停止してしまう恐怖感がある。ぜひ一度観て欲しい。ちなみにホームアローンでボッコボコにされる泥棒の小さい方であるのはいうまでもない。

 

グッドフェローズは、スコセッシ映画では珍しく、主人公ヘンリーの妻であるカレンの目から見た世界が描かれている。

ユダヤ系の厳格な家庭で育ったカレンが、マフィア社会に触れることで、少しずつ暴力への恐怖感が権力やマネーにより薄れていく様は必見だ。

 

ヘンリーは、ボスであるポーリーとの約束を破り、麻薬の密売を始める。

莫大なマネー、クスリ、愛人、見事スコセッシ役満となったヘンリーは、ここから見事転げ落ちていく。

グッドフェローズの怖さはここからが本番だ。

ヘンリーは、かつての盟友であったジミーに殺されるのではないかという恐怖感に包まれていく。ジミーはヘンリーが自分を検察に売る代わりに助かろうとしているのではと疑っていた。

麻薬密売がバレてポーリーに破門にされ、ジミーに命を狙われ、疑心暗鬼に陥ったヘンリーの恐怖は、マフィアの中でしか生きてこなかった男の弱さであった。

 

グッドフェローズは、名優たちの過激な演技と50年代からの古き良きアメリカの描写が素晴らしい名作だ。

ちなみに実話。

 

 

ウルフ・オブ・ウォールストリート

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グッドフェローズの金融版「ウルフ・オブ・ウォールストリート

正直、ストーリーはほぼグッドフェローズだ。

ディカプリオ演ずる金融マンが、悪徳商法で巨万の富を得ていくストーリー。

マフィアではないが、やっていることは金融マフィア。

 

こちらは暴力よりも、マネー・女・クスリというスコセッシ定食セットをこれでもかと喰らっていくので、家族で見たくない映画の栄えある一位である。

ディカプリオ率いるイカれた登場人物たちのものすごい酒池肉林ぶりもさることながら、その周辺の人物も大概イカれているので、真面目な普通の人間はほぼ登場しない

物語後半になると、ディカプリオは常時ラリっている。だが今作のディカプリオの演技は神がかっており、これでアカデミー主演男優賞が取れなかったのが理解できない。

タイタニックのレオ様を観たあと、この映画を観たら、真面目な人は泣いてしまうだろう。これは「インターステラー」観たあとのマシュー・マコノヒーにもいえる。

 

スコセッシが求めるスコセッシ・ガールの最高傑作は、この映画のマーゴット・ロビーだろう。とにかくビジュアルがスゴい。絵力が半端なく、また白い粉との相性も素晴らしい。

 

この映画の見所は、マネーゲームという善悪の概念がない世界を舞台にしたところだ。

マフィアのように、すべて法の外での仕事ではない。

マネーゲームでは、騙す側も騙される側も欲望に身を委ねている。結局は法律により罰せられるのだが、主人公が言うように、大手の証券会社も似たようなことをやっている。サブプライムローンがまさにその典型だ。

この映画では、登場する人間が露骨に欲望をぶつけ合っている。そこに善悪はない。

富を求めることを悪とするなら、貧しいことは善なのだろうか?

「それ違う!」というメッセージが込められた映画だ。

ちなみにこれも実話である。

 

 

カジノ

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デ・ニーロとペシ兄さんが再登場した「カジノ

デ・ニーロ演ずる主人公サム・“エース”・ロススティーンは、ギャンブラーからカジノ経営者にまで成り上がった男。

もう皆さんおわかりだろうが、頂点を極めた時にブロンド美女と結婚する。

これが映画史上最悪の女の一人、シャロン・ストーン演ずるジンジャーである。

先程、マーゴット・ロビーがスコセッシ・ガールの最高傑作と書いたが、こちらはスコセッシが描きたかった悪女像の最凶傑作だ。

呪われた宝石のように、ジンジャーを手に入れてから一気に奈落の底に落ちていく。

 

そこにはこれまたスコセッシ映画名物の「成金に群がるヤバイ人たち」が手を貸している。

ここでペシ兄さんの登場だ。グッドフェローズで演じたトミーよりもさらに凶悪なニッキー、そのヤバさといったら万力拷問や万年筆で滅多刺しなどなど閲覧注意の危険度

この映画は、女と友人に振り回されて何もかも崩壊していく哀れな主人公エースに深く同情するのが正しい見方だ。

言うまでもないが、これも実話。

 

 

まとめ

「わかっちゃいるけどやめられない」のが実録ジェットコースター人生映画シリーズ。

他にもレイジング・ブルやアビエイターなんかも似たようなストーリーだ。

だが、この乱高下する苛烈な人生こそ、人間なのだといわんばかりの秀作揃い。

そこに教訓めいたメッセージ性はない。ただのほほんと過ごしているよりも、こんな人生のほうが素晴らしい!これぞ映画だ!とスコセッシ監督は思っているのかもしれないが僕は御免だ。

 


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