AKIRAで人生変わっちゃうのはなぜか? AKIRAと中二病についての中二病的考察

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AKIRA』がBLかどうかはさておき、AKIRAで人生変わっちゃうのはなぜかという話については大きく頷いたせいで臓物が出たかと思ったぜ。

これはAKIRAを観ることにより人生が変わっちゃうという、いわゆる『精神的健康優良不良少年(少女)化問題』であり、今回はAKIRAによりナンバーズにされた哀れな老若男女達のことについて論じてみようと思う。

 

 

 

『精神的健康優良不良少年(少女)化』とは

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かくいう僕も『精神的健康優良不良少年(少女)化』されたナンバーズであり、しかも小学校低学年というAKIRA初体験(遭遇)のためかなり早熟であった。

「AKIRAを観る前と観た後の世界は、本質的にも実存的にも違う」と述べたのは仏哲学者ジャン・ポール・サルトルではなく僕であるが、多くのナンバーズがカプセルなしでも目が冴える思いで納得できるであろう。

では、『精神的健康優良不良少年(少女)化』とは何か?

それは、「リアル世界への確信的な疑念」である。

 

AKIRAを観た後、我々の知るリアル世界はもはや現実ではなく、そこには超主観的な虚の広大かつ荒廃したフロンティアが広がっている。

これはWHOの医学専門用語で『中二病』と呼ばれている原因不明の難病だ。

『中二病』は突如発症し、リアル世界で赤面するレベルの赤っ恥を感じることで治癒するとされる病気であり、発症平均年齢は10歳~15歳とされている。

AKIRAはこの中二病を発症する原因として、ネオナチやミヤコ教徒からは焚書扱いされている。

「世界への確信的な疑念」は、虚構の世界観を提示し、妄想のHDDとなる。不毛なリアル世界の自らの存在から逃れる聖域(アジール)に生きる強力な免罪符、それこそがAKIRAなのだ。

 

なぜAKIRAなのか?

では、なぜAKIRAなのかを3つの要点に絞って考察してみよう。

 

①絶望的な未来

AKIRAのディストピアでスチームパンクなネオ東京という舞台は、現実世界を何の疑念もなく生きている人間たちへの侮蔑であり、ある者にはメシア(救世主)となる。

第三次世界大戦後の復興中であるネオ東京は、欧米人の好きそうなオリエンタルスチームパンク都市であり、カオスの雑居ビルのようだ。

そこには希望のある未来都市ではなく、破壊と再生の先にあったのはまたしてもカオスであり、薄汚れた治安の悪さでネズミのように生きる未来人が描かれている。

技術的な進歩は垣間見られるが、現実社会で「教えられる/押し付けられる」明るい未来像はそこにはない。

バブルに浮かれた放映当時の日本でこれをやるってのかよ~

 

②超能力とドラッグ

鉄雄は突如として人外の超能力を手に入れる。

鉄雄は何の努力もなしに、ただ偶然にこの圧倒的な力=権力を手に入れる。

いや、気付かせられるのだ。鉄雄は先天的にAKIRAと近い特性を持ち合わせていた。

あのとんでもない力に、今まで一切気づいていなかったのだ。

この偶然性は、リアル世界において脱落を決め込んだ人間にとっては、まさに祝福なのだ。

なぜなら、押し付けられた社会の中のカーストで下位に属する自分が、異なる世界(AKIRAの力→押し付けられた社会の否定)ではカースト最上位に君臨していたのだから。

鉄雄は気付かされた力で、社会のルールを踏みにじるように破壊を繰り返す。

警察や軍人やインフラを圧倒的に屈服させ、最先端の科学技術を己の力だけで破壊する。

これは押し付けられた社会への復讐であり、まさに世界の破壊者であり創造者なのだ。

押し付けられた社会を突如として反転させるような力の存在を知ることで、リアル世界が未来永劫続くものではないという確信を得る。

この破壊により、世界の有限性を知ることができるのだ。現実世界は容易に、そして一瞬で反転する可能性があり、それは一秒後かもしれないのである。

 

そしてドラッグカルチャー。

ポパイのホウレン草のように、ドラッグの力で人間がいとも簡単に変わってしまう。

ドラッグによる人間のブースト効果は、観るものに「いわれのない伸びしろ」の存在を提供する。

超能力とドラッグ、この二点は今ある自らの存在を容易に変えることができるという革新的確信を得ることができる。

 

③エンディング

謎だらけのAKIRAだが、エンディングで真相が少し垣間見ることができる。

アキラくんや鉄雄の超能力は、『人間の進化』であり、人間が本来持っているエネルギーであり、そしてそれは世界の概念すら変えてしまうということだったのだ。

この「進化」による「革新」は、人類の文明の発展と同意であり、現代社会のパワーバランスの崩壊だけでなく、世界自体を変えてしまうくらいのポテンシャルがある。

まさに究極のリアル世界の否定なのだ。

自分たちが押し込まれているリアル世界は絶対的なものではなく、たやすく突発的に崩壊するかもしれない・・・し、自分がその破壊者であるかもしれない。

そう思うことで、現実世界の現実に占める領域は脆く崩れ、そして自分が世界の支配者になるのだ。

 

 

結論「AKIRAとは中二病の妄想世界の肯定」

以上の理由からみたとおり、AKIRAとは中二病の妄想世界を肯定するのだ。

・リアル世界の陳腐化

・破壊衝動の肯定

・自らのまだ見ぬ可能性の天井突破

このような妄想世界の武装強化に役立つツールを、AKIRAはリアルにありそうな未来像にヤバメの音楽を添えてSFをリアルに転化したのだ。

 

AKIRAを観た後の世界は、「空虚で脆くてすぐにでも崩壊しそうな世界」となり、「自分はこの世界を概念から破壊できる存在」かもしれないという自己肯定感を与えてくれる。

この心理の変化は、不毛なリアル世界の自らの存在から逃れる聖域(アジール)を生み、拡大し、なおかつよりリアルな世界に変化させる。

 

AKIRAは「現実世界への破壊的否定」と「自己への根拠不要な肯定」を与えてくれるからこそ、カルト的な人気があるのだ。

これこそが『精神的健康優良不良少年(少女)化』であり、世界中の中二病予備軍をナンバーズ化させた原因なのだ。

 

AKIRAによりナンバーズ化された我々は、突如として世界の崩壊が始まるのを「知っている」

 

その時、リアル世界はひっくり返り、すべてはAKIRAになる。

 

その時、ナンバーズは・・・

 

そう、AKIRAとは神なのだ。

 

 

 

「もう始まっているからね」

 

 

「でも、いつかは私たちにも・・・」