家族映画としてみる「ゴッドファーザーⅡ」~ビトーとマイケルの違い~

f:id:tetsujin96:20090728223544j:plain

ゴッド・ファーザーPART2」を再見した。

かの映画は、語るまでもない名作、しかも続編モノの数少ない傑作という伝説的存在である。

この名作をマフィア映画としか思っていない人が多いが、これは純粋な家族愛をテーマにしたシチリア移民版サザエさんなのだ。

マフィア映画ではなく、家族愛をテーマとした視点で考察をば。

 

 

 

 

偉大な父、不器用な子

主人公はアル・パチーノ演じるマイケルである。

マイケルはとにかく不器用で不憫極まりない悲しい男だ。

マイケルは偉大な父ビトー・コルレオーネから、シチリア移民マフィアのドンの座を継承する。

ビトー・コルレオーネは貧しいシチリア移民の身から、一代でアメリカ五大ファミリーの一角に陣取る巨大組織を作り上げた男だ。

マフィアのドンでありながら、家族や部下はもちろん市井の人々からも大いに尊敬されていた。

 

そんなビトー・コルレオーネには四人の子供がいる。

短気で暴力的な長男のソニー、優柔不断で見栄っ張りな次男フレド、大学出で冷静沈着な三男マイケル、感情的で好色な長女コニー。(キルゴア中佐は置いておきます)

誰も一癖ある子どもたちだが(どんな教育してたんだ)、ビトーはそんな子どもたちからも尊敬され、仲睦まじい家族を作り上げていた。

長男ソニーが抗争のため命を落とし、ビトーもその後亡くなる。

あとを継いだ三男マイケルは、偉大な父が作り上げたファミリーを守るため、マフィアの世界へ歩み出す。

 

マイケルはすぐに頭角を現し、ビトー以上に闇社会で成功する。

だがファミリー、特に家族は、そんなマイケルから少しずつ心が離れていく。

偉大な父に近づき、ファミリーを強くし、家族と幸せに暮らしたいと願い必死に働くマイケルだが、その目的のために手段を選ばない冷酷さから、次々と周囲の人間が遠ざかっていく。

結局、妻と離婚し、そして最大の悲劇を迎える。

 

 

ビトーとマイケルの違い

f:id:tetsujin96:20170419011523p:plain

父と子の違いは、目的への手段だ。

ビトーは目的に向かう前に、必ず人々の面子を立てるように根回しをした。できるだけ後腐れなく、WIN-WINの関係の構築を目指した。時間はかかるが、ビトーは自分の縄張りの中では誰からも尊敬を受けた。

マイケルは目的に向かって最短距離で一気に攻め立てる。そのおかげでファミリーは急速的に成長するが、その分たくさんの恨みを買うことになる。恨みを買うことにより緊張が増す。マイケルはファミリーを守るため、さらに権力を得ようと戦い続けることになる。

ビトーは「関係」を手段として用いた。ゴッドファーザーとは、調整役として有能で公平なビトーに送られた言葉でもある。

マイケルは「恐怖」を手段に用いた。武器(資金)をちらつかせた交渉や、相手の弱みを握り、時に殺人も行いながら、パワーバランスを一気に破壊し頂点を目指した。

 

マイケルは、ビトーとの違いを「時代」と評した。

たしかに時代は大いに影響している。戦後好景気のアメリカでは、闇社会のビジネスが大きく転換(カジノやマネーゲーム)した。それに取り残されないようにするには、時間は大変貴重だった。

だが、父ビトーを慕う家族やファミリーには、マイケルの家族愛は冷酷に写ってしまった。

 

ここで大事なのは、ビトーとマイケルは全く同じ家族への愛があるということだ。

経済的に豊かになれば、家族はより幸せになる。ファミリーが強くなれば、家族は安全に暮らせる。そのために二人は戦ったのだ。

それなのに、マイケルは父と違ってどんどん恐れられ、孤立していく。

マイケルにしてみれば、父と全く同じことをやっているという認識しかなかった。

家族からしてみれば、どんどん闇社会で強権を振るうマイケルを恐れ、それによる復讐の連鎖を恐れた。

成功しているにも関わらず、偉大な父と比較され、孤立していくマイケル。

彼はこのギャップに最後まで気づくことができなかった。

家族もこのギャップを埋めることはできなかった。

これこそ、偉大なる父ビトーの残した負の遺産だった。

 

戦国武将の黒田如水は、死ぬ間際にやたらめったら家臣や家族に悪態をついたそうだ。

家臣に諭され悪態を止めるよう言いに来た息子長政に、如水は「自分が死した後に家臣たちがお前に忠誠しやすいよう取り計らった」と話したといわれている。

ビトーは完璧すぎる父のまま死去した。ビトーは、後継者指名の際に如水のように何か手を打つ必要はあったかもしれない。溺愛していたマイケルが、そのことで大いに苦しむとは、さすがのビトーも解らなかった・・・というところがこの映画の面白いところであり、タイトルの素晴らしさなのである。

 

 

 

構成で語る家族愛

f:id:tetsujin96:20170419011436p:plain

そしてこの異なる家族愛を、巧みな構成で物語っていくコッポラ監督の名裁き!

マイケルが孤立していく姿と、ビトーの出生から成功していくまでの足取りが交互の流されていく。

父が作り上げたファミリーを受け継ぎ、闇社会での成功とそれに反してバラバラになる家族、その苦悩を噛み締めるマイケル。逆にシチリアから逃げ出し、無一文の子供でしかなかったビトーが、人々の助けを借りながら成功していく様。

この落ちていくマイケルと、成り上がっていくビトーのエピソードが絶妙に交差していく。

妻や子どもたちが離れていくマイケル、子供や仲間がどんどん増えていく若きビトー、構成の妙でまるで親子が逆の道を歩んでいるようにみえる。

闇社会での成功と家族からの孤立というマイケルの物語、そのどちらも掴んでいくビトーの物語、これにより先程のギャップをより明確になる。

謂わばこのビトーの物語は、マイケルにとって呪いなのだ。

マイケルの目指すものこそ、若きビトーの物語である。だがマイケルは仕事・家族の両方を得ようとし、どちらも失敗していく。仕事では闇社会にどっぷり浸かっていき、家族はいなくなった。

この構成により、鑑賞者はマイケルに感情移入させられてしまう。

闇社会のドンに上り詰めたマイケルだが、最後まで偉大な父が作り上げた物語から決別することはできなかった。

エディプスコンプレックスに呑まれたマイケルは、結局のところビトーの亡霊に立ち向かおうとはしなかったのだ。

そこにこそ、マイケルの悲劇がある。

 

 

まとめ

 

まあ結局のところ最後にまとめると、若きビトー・コルレオーネを演じる若きロバート・デ・ニーロがカッコ良すぎというところだ。

四の五の言わず、刮目してデ・ニーロを見よ。

特に肺炎で苦しむフレドを心配そうに見つめるデ・ニーロの演技が素晴らしい。父親になって感じるデ・ニーロの深み。脱帽。絨毯盗んできます。

 

 

nounai-backpacker.hatenablog.jp

新社会人に送る職場の気をつけた方が良い奴の傾向と対策

f:id:tetsujin96:20170407021620p:plain

新社会人諸君!ようこそ蟹工船にっぽん丸へ!

君たちが思っている以上に会社とか社会人とかはクズだから気をつけるんだぞ。

社会とはめっちゃ非効率で感情的で陰惨で嫉妬の塊であり、でもお金をくれるありがたい装置だということを忘れるな!

そんな社会の縮図たる職場だが、気をつけたほうが良いヤバイ奴らがたくさんいるので、その傾向と対策を教えてしんぜよう。

 

【目次】

 

仕事できないのになぜかできるポジションにいる奴

傾向

これは虎の威を借る狐みたいな奴で、小奴らの至上命題は如何に仕事を効率良く行うかではなく、如何に自分のポジションを(楽に)維持向上させようかしか考えていない危険人物だ。

なぜか上司や女性グループのドンの(人間関係上の)側近ポジションにいる。もちろん仕事はできない。なぜなら仕事よりもその他のことで忙しいからだ。

基本的に、悪口陰口噂話で場の空気を操る。裏で人の失敗は徹底的に攻め、裏で上司の揚げ足を取り、裏で特定の職員をいじめる。人間関係を数値で見ることが唯一の取り柄で、それがまた巧妙。職場のパワーバランスを裏で操るが、表立たないので何だか良いポジションにいる

そしてそのポジションを維持するためなら何でもする。基本的にその場にいない人間の悪口陰口噂話を放ち、その時の対応なんかを超怖い目で見ている。そうやって人間関係相関図をミリ単位で検知観測している。安易に同意しようものならその事実を武器に使われ、不用意なことを言おうものならブラックリストに載る。

だが不釣り合いなポジションにいることと、いつ自分に悪口陰口噂話が返ってくるか戦々恐々としているため、大きな変化を極端に恐れる(新事業、人事異動など)

また上述の理由で、失敗を極度に恐れる。責任逃れに終始し、立場の弱い人間になすりつける。困ったときには「僕はその権限ないから、◯◯さんにやらせれば」とか「それ私の仕事じゃないし、◯◯さんが担当じゃないの?」とか言って逃げる。最終兵器は「あたし馬鹿だからわからない」

 

対策

殴れ!

 

 

体育会系保守派飲みニケーション族

傾向

野球部かなんか知らんけど、高校3年生で全思考が停止したシャブ中。

口癖は「俺ら(あたいら)高校ん時は・・・」

何でも自分のやっていたスポーツ、もしくはそれに関連した話に持っていく。

先輩後輩関係がインドのカースト制度よりも厳しく、黙っていてもその意志を汲み取らせて当然だと思っている。空気を読めない癖に空気は大事だと思っている。

仲間とか絆とかEXILEが大好き。

仕事よりも面子と上下関係を守るため、言動に矛盾が多く、結局上下関係を盾にしておしまい。全く生産的ではないが、生産段階に入る前には上下関係をピシッとせなあかんと思っている。

仕事は見て盗めとかいうが、クドクド説明してくる。そしてその「ビシっとしてグッときてバーンや」みたいなカオス説明だけで、彼らの思い通りに動かなければ、「俺らが一年ん時はもっとビシっと動いとったで」と言う。

飲み会が大好きで、飲みニケーションこそが仕事で一番重要だと思っているが、そのせいで出世できていない。もちろんお酒は両手で注ぐように。

 

対策

ビールジョッキで殴れ!

 

 

現実逃避ニヒリスト気取り

傾向

全く仕事ができない、または全く信用されていないかわいそうな人。

これは人材のミスマッチが原因だと個人的に思うのだが、日本の会社はここが特に冷酷。

あまりにアイデンティティが傷つけられたため、防衛反応として虚無主義に陥ってしまった劣化版ニーチェ。

「何やっても世の中変わんない」とか「仕事なんてカネのために時間売ってると思えば良い」とか言ってとにかく無為に時を過ごしている時の番人でもある。

実は自分と同じような「仲間」を求めており、怪しいお誘いが多い。だいたいギャンブルや流行の趣味、宗教などに手を出しているので、借金していることが多い。

職場の全てに文句を言いまくり、遅刻やドタキャンが日常茶飯事なので、誰からも相手にされていない・・・ように見えて一部から熱狂的な支持がある。

これ以上減点がないので、上司などにもわりと強めに楯突けるからか?

でも結局何も出来ない事が多く、調子に乗った後に自殺念慮するので見ていて心配になる。

 

対策

アムウェイ

 

【スポンサーリンク】
 

 

熱血鉄砲玉猪武者

傾向

過剰な行動力と動物的早とちりによって、周囲を焼け野原にする職場のバルカン半島。

とにかく即決即行動と、吉田松陰みたいな無茶をして周りに迷惑をかける。

人情肌で面倒見が良いが、とにかく後先や場の空気や人間関係なんか全く考慮しないため、焼け野原後の復興が大変。扱いの上手い上司に当たれば良いのだが、そうでないと倶利伽羅峠の牛の如く暴れまわって手がつけられない。

だが本人は良かれと思っているので、何だか指摘しづらくて結局堂々巡りになる。

そう、とにかく明るいのだ。楽天的で好人物、だがしかし自分の危険度を全く認識していない豆腐でできた水素爆弾。

でも仕事熱心なのは大いに伝わるから、結局何か言いづらくて「◯◯さんだから仕方ないね」「◯◯さん頑張ってるしね」で終わる。

僕の知っている人は、ある会議で案の定辺り一面(その場に10人くらいいた)焼け野原にした帰りに、「ちょっと言い過ぎですよ。というか話し過ぎですよ。得意先も来てたんですし」と僕が言うと、「えっ?」と返された。

でも憎めない。

 

対策

激しい運動

 

 

結果がコミットしない意識高い系

傾向

スタバでMac的な意識高い系だが、とにかく結果が伴わない=コミットしない。

結果がコミットしてないのに、マーケティングとかブロックチェーンとか言うからウザい。

最新技術盲信者のくせに、Excelのミスが頻発。

勉強会などにもよく顔を出すが、目的が定まっていないので、結果がコミットしない。

好きな名言や尊敬する人物を聞く(語る)のが大好き。でも結果がコミットしない。

個人的に意識高い系はとても良いことだと思うのだが、意識高いことだけが目的になっていては本末顛倒だと思う。

よく飲み会やパーティーを開こうとするが、結局異性目当てが露骨なので気をつけよう。

 

対策

RIZAP

 

 

自爆テロリスト

傾向

何でもかんでも抱え込んで、残業して、休日出勤して、誰よりも長く働いた後、盛大に自爆するテロリスト。

誰にも助けを求めないので、みんな大丈夫だと安心していたら、何か重大な拍子に爆弾が破裂する。不意打ちなので、こちらにも大ダメージなのは言うまでもない。

「なぜ言わなかったのか?」と問うと禅問答みたいな答えが返ってくる。

だが抱え込んでいた爆弾が破裂した後は、なぜかスッキリしている。

 

対策

ハート・ロッカーを見せる

 

 

プロフェッショナル仕事の流儀マン

傾向

仕事はできる。かなりできる。だがその自負がプライドという刃になって他者を傷つけ他者を寄せ付けないシザーハンズ。

口数少なく、自分にも他人にも厳しい。だが協調性は皆無なので、単独プレーに陥り、でも周りはフォローできない孤高の騎士。

こういうタイプが上司だと、「プロフェッショナル 仕事の流儀」のテーマソングが職場のBGMになる。他人に教えることが不得手で、見て覚えろタイプだが、見て覚えられたら苦労せんわ!

自分が積み重ねた経験と努力は大層なものだが、そこから時間を省いて同じ目線で新人を見ようとするので正直しんどい。

職場では彼(彼女)からの落伍者と敗残兵が強い緊張の下、まるで監視されているような環境で働いている。もちろん毎年数人が部署異動か辞めている。

こんな上司に喰らいついていけばきっと素敵な人材になれるだろうが、皆が皆そうじゃないという事実を肝心の本人は全く気づいていない。

 

対策

プロフェッショナル 仕事の流儀」を毎週欠かさず観る。

 

 

まとめ 

新社会人の皆様、お疲れ様でした。

職場に10人いたら、3人はこの中のどれかのタイプが混じり込んでいます。

もうこれは必然です。いやならベンチャー企業でも立ち上げましょう。

昨今は、ブラック企業やパワハラが問題になっていますので少しは改善されたかもしれませんが、蟹工船にっぽん丸はきっとこの先大きくは変わりません。

なので今回提示した傾向はしっかり予習しておくように。あと対策は絶対真似しちゃ駄目ですよ。

僕はこの対策を実施したおかげで、かなり揉めてだいたい喧嘩別れしています。

僕みたいになるな!戦え新社会人!